<第3章の要点>
まずはじめに適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし
その後にどこに行くかを決めること、これがこの章の要点である。
 

<だれをバスに乗せるか - 最初に人を選び、その後に目標を選ぶ>
飛躍を導いた指導者は、三つの単純な真実を理解している
 1:「何をすべきか」ではなく「誰を選ぶか」から始めれば、環境の変化に適応しやすくなる
 2:適切な人たちがバスに乗っているのであれば、動機づけの問題や管理の問題はほぼなくなる
 3:不適切な人たちばかりであれば、正しい方向が分かり、正しい方針が分かっても、偉大な企業になれない

<「一人の天才を千人で支える方式」はとらない>
突出した天才は会社の成功をもたらす原動力であり、会社にとって貴重な資産
 →ただし、天才が会社を率いている間は、、、
  →組織を築くよりも、自分の偉大な考えを実行出来る優秀な「部隊」を集める
   →天才が去ったあとは、兵士は為す術がなくなることが多い

・「一人の天才を千人で支える」方式
 第4水準の"経営者"
  →最初に目標を選ぶ
   →その後に人を選ぶ(ビジョン実行のために、能力の高い兵士を集める)

・第5水準の指導者 + 強力な経営陣
 第5水準の"指導者"
  →最初に人を選ぶ(最初に適切な人材を集めて、強力な組織・経営陣を築き上げる)
   →その後に目標を選ぶ
 
*ニューコアは「人材こそがもっとも重要な資産だ」という格言を否定している
 →「適切な人材」こそがもっとも重要な資産なのだ

 
<厳格であって冷酷ではない>
偉大な企業は、おそらく職場として見た場合に厳しいところだと思える
 →しかし、これらの企業は厳格であって「冷酷」ではない

冷酷:事業環境が悪くなると大幅なリストアを行ったり、普段から真剣に検討することなく気まぐれに解雇したりする
厳格:厳しい基準を常に、組織内のすべての階層に適用し、とくに上層部に厳しく適用すること
 

<厳格さをどのように確立するか>
1:疑問があれば採用せず、人材を探し続ける
  →売上高の伸び率が、適切な人材の数の伸び率より、常に高ければ偉大な企業を築くことは出来ない

*企業が成長していくことに最大のボトルネックになるのが、市場・製品・技術・競争でないことを理解している
 →どの要因よりも重要なのは、適切な人びとを採用し、維持する能力である

ブルカート:
「第一は人、第二に人、第三に人、第四に人、第五に人だ。転換のかなりの部分は、適切な人材を選ぶ点でしっかりとした方法をとったことで可能になった。」

アラン:
適切な人材がなかなか見つからない報告を受けたとき
 →「妥協はしない。別の方法を見つけて、最適な人材を探そう」

 
2:人を入れ替える必要があることが分かれば、行動する
誰かを管理する必要があると感じるようになったら、、、採用で間違いを犯したのだ。
 →最高の人材は管理を必要としない
  →指針を与え、教え、導く必要はある。

不適切な人たちがバスに乗っている
 →様子を見守り、決定が遅れる
  →何度もチャンスを与えて、状況が改善するのを期待する
   →その人達を管理する方法を考え、足りない部分を補う小さな仕組みを作る
    →自宅に帰っても、その人達をどうするか考え込む
     →その結果、適切な人たちとの関係を強める作業が出来なくなる
      →一向に改善しない状況が続き、最後に本人が辞めていく

*不適切な人がしっかりとした仕事をしないので、適切な人たちが尻ぬぐいや穴埋めをするしかなくなる
 →周囲の人たちはみな不思議に思っている「もっと早く手を打てば良かったのに」
  →自分に正直になって考えてみると気付く
   →延々と待ち続けるのは、相手に気を使っているのではない
    →その方が、自分にとって楽だからであると

*適切な人材を「適切な場所」にあてるために費やす1分間は、あとの何週間分にもあたる価値がある
 

だが、人を入れ替えなければならないと、どうしたら分かるのか?
 ・その人をもう一度採用すべきかと考えたときに、もう一度採用するだろうか?
 ・その人が、他に機会があるので辞めるとしたら、深く失望するか?それともホッとするか?

 
3:最高の人材は最高の機会の追求にあて、最大の問題の解決にはあてない
飛躍した企業は、最高の人材を最高の機会の追求にあてており、最大の問題の解決にはあてていない
 →問題を解決しても無難になるだけで、偉大な企業になるには機会を追求するしか道がない

「第5水準の経営陣の一員と、ごく普通のよき兵士とで、どこに違いがあるのか」
 →個人としてみても強い指導力を持っており、意欲と能力が十分にある
  →自分が担当する部門を世界最高級の事業に育て上げる
   →そして、会社を偉大にするために必要な事をすべて行う方向に、それぞれの強みを活かす

*経営陣が最善の答えを探すために、ときに激論を交さなければならない
 →一方で、方針が決まれば、自分が担当する部門の利害を超えて、決定を全面的に支持しなければならない

 
<偉大な企業を素晴らしい人生>
ここまで読んで「良好から偉大になるためには個人の生活が疑問になるのでは?」と思う人もいる
 →適切な人材を適切な場所にあてていたので、昼も夜も働かなければならない状況にはならない

良好から偉大に飛躍した企業の経営者に話を聞くと
 →良好から偉大に飛躍した時期が、人生のなかで一番充実していた時期だったと語る人が多い
  →どれほど苦しい時期にも、どれほど大きな課題でも、仕事を楽しんでいたから
 

<人事の決定で厳格になる方法>
・疑問があれば採用せず、人材を探し続ける
 →これは難しく、適切な人々を採用し続ける能力は、企業の成長の最大のボトルネックである

・人を入れ替える必要があることがわかれば、行動する
 →その前に、座っている席が悪いだけなのか考える(適切な場所に配置しているのか)

・最高の人材は最高の機会の追求にあて、最大の問題の解決にはあてない

・最善の答えを探すために活発に議論し、方針が決まれば、利害を超えて決定を全面的に支持する
 

*どういう人が「適切な人材」なのかは、専門知識・学歴・業務経験ではない、性格と基礎的能力で決まる

 

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