「時を告げること」
カリスマ指導者が、素晴らしいアイデアを持っていたり、素晴らしいビジョンを持って影響を与えること

「時計を作ること」
ひとりの指導者の時代をはるかに越えて、いくつものライフサイクルを通じて繁栄し続ける会社を築くこと
 

素晴らしいアイデアを見つけてから会社をはじめることにこだわらないほうが良いかもしれない
 →アイデアにこだわっていると、企業が究極の作品だと考えられなくなってしまうから
  →企業そのものが究極の作品である
 

幸運の女神は、どこまでもねばり抜く者にほほえむ
 →何を粘り抜くのか?
  →答えは会社である。アイデアは諦めたり、変えたり、発展させることはあるが会社は絶対に諦めない
   →「絶対に、絶対に、絶対に諦めない」
 

会社の成功とは、あるアイデアの成功だと考える起業家や経営幹部が多い
 →アイデアが失敗すると、会社まで諦める可能性が高くなる
  →成功した場合は、そのアイデアに惚れ込んでしまう
   →そして、会社が別の方向に進むべき時機がきても、アイデアに固執しすぎる可能性が高くなる
 

ビジョナリーカンパニーの一つであるHP(ヒューレッドパッカード)のCEO(パッカード)に次の質問をした
 「製品に関する決定のうち、会社の成長にとくに重要な意味を持ったものはなんだと思うか?」
  →パッカードの答えに、製品に関する決定はひとつもなかった
   →下記に示すような「組織」に関する決定ばかりだった

・研究開発チームの育成
・無借金経営による財務の引き締め
・利益配分制度
・人事・管理方針
・経営哲学の浸透・一貫性
 

会社を究極の作品と見るのは、極めて大きな発想の転換である
 →この発想の転換によって、時間の使い方が大きく変わる
  →製品ラインや市場戦略について考える時間を減らし、組織設計について考える時間を増やすべき

*つまり時を告げるために使う時間を減らし、時計をつくるために使う時間を増やすべきなのである
 

ビジョナリーカンパニーが素晴らしい製品やサービスを次々に生み出しているのは
組織として卓越しているからに他ならない
 →すばらしい製品やサービスを生み出しているから素晴らしい組織になったのではないと思われる
 
 

<カリスマは必要ない>
世間の注目を集めるカリスマ的なスタイルは、ビジョナリーカンパニーの基礎を固めるためのに不必要である
 →多くの人が、カリスマ的指導者に関する本や記事を読んでは、自分のスタイルとの落差を感じている
  →しかし、そうしたスタイルは必要ない

*ビジョナリーカンパニーの基礎を築いた人々が、素晴らしい経営者ではないと主張しているわけではない
 →カリスマ的なスタイルが、ビジョナリーカンパニーを築くのに「不可欠」だと言えないのは明らか
 

<建築家のような方法 - 時計をつくる>
ビジョナリーカンパニーを、同業の比較対象企業では、草創期の経営者に確かに違いが見られた
 →最大の違いは、その志向にあったと思われる
  →「組織志向が強かった」
 

<ビジョナリーカンパニーを築くにあたって、重要の方法>
行動ではなく、視点を変えることである
 →次章以降の行動に関する発見を活かすために、正しい考え方を身につけなければならない

ビジョナリーカンパニーが成功したのは、全知全能の神のような偉大な指導者がいたためでない
 →基本的な過程、基礎になるダイナミクスが組織に深く根付いていることが少なくとも一因である
  →つまり、経営者は製品についてビジョンを考えたり、カリスマ指導者になろうとする時間を減らすべき
   →ビジョナリーカンパニーとしての性格を築こうと考える時間を増やすべき
 

つまり、、

時を告げる志向から時をつくる志向へと発想を転換する
 →これによって、ビジョナリーカンパニーを築くための必要な点の大部分を学ぶことができる

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